2009 Fiscal Year Annual Research Report
衛星データを用いた陸域植生による炭素吸収量推定手法の高精度化に関する研究
Project/Area Number |
20780187
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
石原 光則 National Institute for Environmental Studies, 地球環境研究センター, NIESポスドクフェロー (60452166)
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Keywords | LUE / PRI / MODIS / GPP / 陸域生態系 / 衛星データ |
Research Abstract |
植物の炭素吸収量を決定する上で極めて重要なLUE (Light Use Efficiency)を,衛星データから算出したPRI (Photochemical Renectance Index)で推定出来る可能性がある。現在,米国の陸域観測衛星であるMODIS (Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer)を用いてPRI算出の有効性が検討されているが,広域での空間分布や季節的変化についてはほとんど検討されていない。そのため,本年度は,MODISデータからPRIを算出し,新たに日本におけるLUEの空間分布に対応する分布図を作成し,PRIの空間分布と季節変化について検討を行った。 始めに,日本全域について,MODISデータから算出した2004年のPRIの分布図を作成した。その結果,PRIの空間分布は,森林域と比較して農耕地で低い値となり,同じ植生タイプでも地域により値が変動することが確認できた。また,PRIの時系列変化は,特に森林域で地上観測のPRIと同様の時系列変化をしており,植生の量がほとんど変化しない場合でもPRIの値が変化していることが確認できた。 次に,関東地方について,PRIの詳細な特徴の考察を行った。その結果,2~9月では,森林域とそれ以外の植生タイプで,PRIの値に明らかな差が見られ,植生の量がほとんど変化していない場合でも,PRIの値は各月により大きく変動していることが明らかとなった。しかし,1月及び10~12月では,特に森林以外の植生タイプのPRIが,他の期間の値より大きくなり,この結果に対する妥当性の検討が必要であることが明らかとなった。 以上の結果から,今までに行われていなかった,衛星データを用いたPRIの代替となる指標を広域な範囲で算出し,初めて日本全域におけるLUEの空間分布に対応するマップを作成出来ることが明らかとなった。
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