2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳発酵微生物のマスト細胞におけるToll様受容体2を介した抗アレルギー作用の解明
Project/Area Number |
20780191
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河原 岳志 Shinshu University, 農学研究科, 助教 (30345764)
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Keywords | 乳酸菌 / アレルギー / マスト細胞 / 脱顆粒反応 / FcεRI / Tollと様受容体2 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果によって得られたマスト細胞の脱顆粒反応を抑制する発酵乳由来乳酸菌株Lactobacillus reuteri NBRC15892株の作用について、TLR2リガンドによる脱顆粒反応抑制作用との関連性を評価した。TLR2阻害抗体を用いて抗体存在下における本菌株の脱顆粒反応抑制活性について評価を行ったところ、抑制作用の有意な減少が確認された。そこで活性に関与する菌体成分がTLR2リガンドである可能性を考慮し、リポテイコ酸を視野に入れた活性画分の特性付けを行った。ガラスビーズによる細胞破砕を行った菌体を1-ブタノール・水抽出系により分画し、透析により分子量1,000以上相当の1-ブタノール溶性・水溶性画分を回収した。これらの画分の脱顆粒反応に及ぼす影響を評価したところ、リポテイコ酸が含まれると予想される水抽出物に顕著な抑制活性がみられることが明らかとなった。これまで知られている黄色ブドウ球菌由来リポテイコ酸にみられる脱顆粒反応抑制活性は、マスト細胞上の高親和性IgE受容体であるFcεRI発現低下を伴うことが報告されている。しかし我々の昨年度の検討では脱顆粒反応抑制に伴ったFcεRI発現低下が観察されなかったため、この点について確認を行った。NBRC15892株ならびに菌体画分添加後のFcεRIの経時的な変化をみたところ、従来報告されている添加24時間後ではなく6時間後に発現低下が起こっていた。しかしこのFcεRI発現低下は24時間後には消失し、これまで24時間処理後に観察された脱顆粒反応抑制の持続性と大きな相違があることが明らかとなった。以上のことから本年度の検討により、NBRC15892株ならびに菌体画分による脱顆粒反応抑制作用に関する新たな知見が得られるとともに、FcεRI発現低下とは異なる持続的な抑制機構が働いている可能性が示唆されるとする研究成果を得た。
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