2008 Fiscal Year Annual Research Report
畜産食品タンパク質をモデルとした合成ペプチドによる生体調節機能の解明
Project/Area Number |
20780195
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石川 伸一 Kitasato University, 獣医学部, 講師 (00327462)
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Keywords | 畜産食品 / 抗酸化作用 / ホスビチン / ペプチド / ホスホセリン / インターロイキン-8 / 抗がん作用 |
Research Abstract |
申請者はこれまで、卵黄タンパク質であるホスビチンやその分解物であるホスビチンホスホペプチド (PPP) が抗酸化作用や抗がん作用を有していることを明らかにしてきた。しかし、PPPは様々な分子量のペプチド混合物であり、単離・精製を行った成分ではないため、その抗酸化作用の機能解明等を難しいものにしている。そこで本研究では、PPPのモデルペプチドとしてポリホスホセリンペプチドを化学合成し、この合成ペプチドの抗酸化作用について調べることを目的とした。抗酸化作用の評価方法は、ヒト結腸がん由来Cacc-2細胞を用い、酸化ストレス時に細胞から産生される炎症性ケモカインのインターロイキン-8(IL-8)を測定することにより行った。ポリホスホセリンペプチドは、ハイドロキシアパタイト上でホスホセリンを重合化させることにより合成した。重合化ホスホセリンは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離、精製を行った。Caco-2細胞は20%FBSを含むDMEM培地でコンフルエントに達したものを実験に使用した。細胞に合成したペプチドを添加し、2時間後に酸化ストレスとして過酸化水素を添加した。過酸化水素を添加してから24時間後に上清を回収し、ELISA法によりIL-8濃度を測定した。酸化ストレスとして用いた過酸化水素は、1mMの濃度の時に最も高いIL-8産生量を示した。ポリホスホセリンペプチドを細胞に添加した結果、1mM過酸化水素によって誘発されるIL-8産生量が濃度依存的に減少し、また、ペプチドの重合度が高い程、IL-8の産生を抑制することが明らかとなった。単体のホスホセリンでは、IL-8の産生量の減少は見られなかったことから、PPPの抗酸化作用は、単体のアミノ酸ではなく複数のホスホセリンが結合し、ペプチドになることで初めてその機能を発揮すると考えられた。
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