2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ卵成熟過程における卵子ミトコンドリア機能の解析
Project/Area Number |
20780198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横尾 正樹 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 准教授 (10396541)
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Keywords | ブタ / 卵子 / ミトコンドリア / 呼吸 / 卵成熟 |
Research Abstract |
卵子の体外成熟培養は生殖工学技術に必要な成熟卵子を多量に作出する技術として,その利用が期待されている。本研究ではブタ卵成熟過程における卵子内のミトコンドリア機能を解析することを目的とする。 ブタ卵子の呼吸量は,体外成熟前後のいずれもミトコンドリア呼吸阻害剤であるKCN処理によって有意に抑制されたことから,平成20年度の研究で確認されたブタ卵子の呼吸量はミトコンドリア呼吸に依存していることが示された。また,本研究では,呼吸量,活性型ミトコンドリア分布およびATP含量の3項目を同一卵子で解析した。その結果,ブタ卵成熟過程において,成熟した卵子では呼吸量が高い状態で維持され,さらに,呼吸量が維持された成熟卵子では,活性型ミトコンドリアの分布(移動)とATP含量とが関連していることが確認された。 以上の結果より,ブタ卵子内のミトコンドリアは機能しており,卵子内のミトコンドリア機能が卵成熟と密接に関連していることが示唆された。従来の研究では「卵子のミトコンドリアは機能していない」というのが定説であったが,本研究はそれを覆す結果となった。将来的に,卵子のミトコンドリア機能に着目した新規の体外成熟培養技術の開発へ展開する可能性が考えられる。また,本研究では,呼吸量測定装置を応用した多項目呼吸量解析を開発した。今後,この手法は細胞のミトコンドリア機能を多角的に解析する新しい研究ツールになることが期待できる。
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