2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブタNKT細胞の増殖・分離方法の確立およびその性状解析
Project/Area Number |
20780213
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小川 智子 独立行政法人農業生物資源研究所, 家畜ゲノム研究ユニット, 任期付研究員 (90466011)
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Keywords | 免疫学 / 獣医学 / ブタ / NKT細胞 / CD1 |
Research Abstract |
これまで免疫機能の活性化や制御には、MHC分子に提示されるタンパク抗原を用いてT細胞(獲得免疫系)に直接働きかけるという手段がとられていた。しかし近年、自然免疫系の活性化が獲得免疫の活性化と密接に関与していることや、ペプチド以外にもCD1分子による脂質抗原提示の系が存在することなどが明らかとなってきた。そこで本研究では、自然免疫と獲得免疫の両方の機能を合わせ持ち、かつCD1d分子で特異的に活性化することが報告されているNKT細胞をターゲットとして、ブタにおけるMHC以外の系を用いた新しい免疫機能活性化のシステムの確立を目指した。特に本課題では、ブタNKT細胞の分離方法ならびに機能的特徴を明らかにし、活性化の条件を決定することを目的とした。 昨年度までにブタ末梢血中のNK細胞(CD8^+CD16^+リンパ球)画分の中にもCD3発現細胞(T細胞)が存在することを確認した。またヒトの一部のNKT細胞(type I NKT細胞=iNKT細胞)において発現しているTCR配列(TCRVα24/TCRVβ11)と高い相同性を持つ配列を、ブタ末梢血よりクローニングすることが出来た。そこで、本年度はウサギを用いて、抗ブタTCRVα24ならびにpCD1dのポリクローナル抗体を作製した。得られた抗体を用いて、ブタ末梢血リンパ球(PBMCs)における各遺伝子の発現のフローサイトメトリー(FCM)による確認を試みたが、陽性の細胞集団を検出することはできなかった。NKT細胞、特にiNKT細胞は発現頻度が低いために検出されなかった可能性もあり、細胞集団を特異的に増幅するシステムが必要であることが示唆されたことから、現在この系の確立を行っている。
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