2008 Fiscal Year Annual Research Report
MMPを介した心筋線維化のメカニズム解析:心筋線維化治療に向けた基礎的検討
Project/Area Number |
20780227
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堀 泰智 Kitasato University, 獣医学部, 助教 (20406896)
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Keywords | 獣医学 / 内科 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
心不全患者における心筋線維化は心機能を低下させるため、生命予後を決定する重要な要因の一つである。心筋線維化を刺激する因子には交感神経系やレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系などが知られている。更に、コラーゲン分解酵素であるマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)は心不全患者の心筋組織において心筋線維化を促進する因子であることが示唆されている。このことからMMPの機能を解析し心筋線維化の調節機序を解明することは、心不全患者における新たな治療法の開発を推進する上で非常に重要であると考える。また、MMP阻害薬を用いた心筋線維化治療の臨床応用が期待されているが、MMP阻害薬が心筋線維化や心機能調節に与える効果についての報告は稀である。これらのことから、本研究では心不全患者における新たな心筋線維化治療の確立と臨床応用を最終目標として、心疾患モデルラットにおいてMMPの発現・活性化を介した心筋線維化の調節機序を精査し、MMP阻害薬による心筋線維化と心機能に関する治療効果の解析を行った。 本研究では、プラセボ群に比較して心疾患モデルラット群において心肥大ならびに心筋線維化が有意に増加し、左心室機能が有意に低下していた。また、心筋におけるMMPの発現・活性は有意に増加していた。しかし、MMP阻害薬の投与は心肥大・心筋線維化を有意に低下させ、左心室機能を改善した。また、MMPの発現・活性は有意に低下していた。以上のことから、MMPの発現・活性は心疾患患者における心筋線維化の進行に重要な働きを持つことが示唆された。また、MMP阻害薬の投与は心疾患患者における心筋線維化ならびに心機能を改善することが期待される。
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