2009 Fiscal Year Annual Research Report
MMPを介した心筋線維化のメカニズム解析:心筋線維化治療に向けた基礎的検討
Project/Area Number |
20780227
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堀 泰智 Kitasato University, 獣医学部, 助教 (20406896)
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Keywords | 獣医学 / 内科 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
心不全患者における心筋線維化は心機能を低下させ、生命予後を決定する重要な要因の一つである。心筋線維化を刺激する因子の一つに交感神経系の賦活化が知られている。更に、コラーゲン分解酵素であるマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)は心筋間質の膠原線維を分解するが、心不全患者においては心筋線維化を促進する因子となることが示唆されている。これらのことからMMPの機能を解析し心筋線維化の調節機序を解明することは、心不全患者における新たな治療法の開発を推進する上で非常に重要であると考える。また、MMP阻害薬を用いた心筋線維化治療の臨床応用について心機能調節に与える効果についての報告は稀である。 これらのことから、本研究では心不全患者における新たな心筋線維化治療の確立と臨床応用を最終目標として、イソプロテレノール誘発心疾患モデルラットにおいてMMPの発現・活性化を介した心筋線維化の調節機序を精査すると共に、MMP阻害作用を持つドキシサイクリン(DOXY)の心筋線維化と心機能に関する治療効果の解析を行った。 プラセボ群に比較して、心疾患モデルラット群においては心肥大ならびに心筋線維化が有意に増加していた。―方、DOXYの投与は心疾患モデルラットの心肥大・心筋線維化を有意に低下させた。また、心筋におけるMMP-2の発現・活性は心疾患モデルラット群において有意に増加していたが、DOXYの投与によってMMP-2の発現・活性は有意に低下した。 以上のことから、MMP-2の発現・活性は心疾患モデルラットにおける心筋線維化の進行に重要な働きを持つことが示唆された。また、MMP阻害薬の投与は心疾患患者における心筋線維化ならびに心機能を改善することが期待される。
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