2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子を用いた抗アレルギーDNAワクチンの腸管粘膜系における免疫応答機構の解明
Project/Area Number |
20780238
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
下里 剛士 Shinshu University, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (00467200)
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Keywords | DNAワクチン / 食物アレルギー / 食品免疫学 |
Research Abstract |
強力なプロモーターとその下流にコードされた抗原タンパク遺伝子を持つプラスミドDNAを利用したDNAワクチンは、感染症、アレルギー予防などへの応用が期待される次世代ワクチンである。本研究では食物アレルギーの原因物質のひとつであるβラクトグロブリン(牛乳アレルゲン)遺伝子情報に基づき、哺乳細胞発現ベクターを用いたDNAワクチン(pβ-Lac)の構築に成功し(平成21年度日本酪農科学会にて成果発表)、マウス免疫細胞における機能解析を行った。マウスより調製した脾臓細胞および腸管粘膜系のバイエル板細胞に対してpβ-Lacおよび空ベクターであるpDNAで処理した。また、牛乳アレルギーモデルマウスから脾臓細胞を調製し、DNAワクチンで処理した。それぞれについて免疫関連遺伝子発現を定量的PCR法により解析した。感作なしの脾臓細胞では、pβ-Lac処理によりIL-1β、IFNα、IFNγおよびIL-33の発現が誘導された。βラクトグロブリンで感作したマウスから調製した脾臓細胞を用いた実験系では、pβ-Lac処理によりIL-6およびIFNγの発現が強く誘導された。IL-12の発現はpDNAと同程度誘導された。pDNAと同様に、pβ-LacによりIL-13、IL-17およびIL-33の発現が抑制された。本研究において、感作したマウス脾臓細胞においてIFNγが強く誘導されると同時にIL-13、IL-17およびIL-33発現が抑制され、Th2系に偏ったアレルギーの状態を改善する可能性が示唆された。また、新たな知見として本研究によりpDNAによるIL-17の抑制効果が示されたことから、プラスミドDNAが、Th17関連の炎症反応の抑制効果を有している可能性が示唆され、DNAワクチン開発における新たな展開が期待された。
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