2008 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素ヘテロ環カルベンを配位子とする新規ヒドロアシル化反応の開発
Project/Area Number |
20790003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 英博 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 助教 (70399955)
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Keywords | ロジウム / NHC / ヒドロアシル化 / アルデヒド / アルケン / ジエン / イオン液体 |
Research Abstract |
本研究代表者は、イオン液体中でRh(I)触媒によるヒドロアシル化反応を行なうと、有機溶媒中の反応より生成物の収率が向上するとともに触媒のリサイクルが可能になることを見出し報告している。このように、イオン液体中でのヒドロアシル化反応が収率よく進行するのは、おそらくイオン液体のカチオン部分から含窒素ヘテロ環カルベン(NHC)が生成し、Rh-NHC錯体が形成されているためではないかと考えた。すなわち、Rh-NHC錯体がヒドロアシル化反応の副反応として問題となる脱カルボニル化反応を抑制している可能性がある。そこで、実際にNHCとボスフィンの両方を配位子として持つ新たなRh(I)錯体を合成し、その錯体のヒドロアシル化反応における活性に関して検討することにした。Rh(I)錯体の合成は、NHCとハロゲン原子の配位子交換反応のより行ない、得られた錯体はX線結晶構造解析によりその構造を決定した。そこで、合成したRh-NHC錯体を用いて4-ペンテナールのヒドロアシル化反応を行なったところ、予想通り反応は速やかに進行し、定量的に目的の環化体を与えることがわかった。次に、本研究代表者は当研究室で開発した4,6-ジエナールのヒドロアシル化を経由する7員環形成反応にRh-NHC錯体を適応することにした。その結果、この場合には反応は全く進行せず、原料をほぼ定量的に回収することがわかった。このことから、今回合成した新規Rh-NHC錯体はヒドロアシル化反応を経由する5員環形成反応には有用ではあるが、7員環形成反応には利用できないことがわかった。そこで現在、新たに光学活性なRh-NHC錯体を合成し、5員環形成反応を不斉反応へと展開すべく検討中である。
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Research Products
(9 results)