2009 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素ヘテロ環カルベンを配位子とする新規ヒドロアシル化反応の開発
Project/Area Number |
20790003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 英博 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 助教 (70399955)
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Keywords | ロジウム / NHC / ヒドロアシル化 / アルデヒド |
Research Abstract |
本研究代表者は、Rh(I)錯体によるヒドロアシル化反応の配位子としてNHCを利用することにより不斉反応へと展開すべく検討した。光学活性なNHC配位子は、研究計画でも述べたようにアミノ酸を原料とする簡便合成法により合成し、配位子ライブラリーの構築を行なった。合成したNHC配位子を用い、ヒドロアシル化反応の条件検討を種々行なったが、高いエナンチオ選択性を獲得することはできなかった。そこで、光学活性なNHCを配位子として持つRh(I)錯体の構造に関する知見を得るため、X線結晶構造解析を行なった。その結果、Rh(I)-NHC錯体は反応場の近傍にうまく不斉空間を誘起できていない可能性が示唆された。現在のところ、不斉反応へと展開することはできていないが、X線結晶構造解析の結果をもとに新たなNHC配位子をデザインし、反応を検討しているところである。一方、NHC配位子を用いたヒドロアシル化反応を検討中に興味深い知見を得た。すなわち、アレンを側鎖に持つアルデヒドとRh-NHC(I)錯体とのヒドロアシル化反応で形成されるローダサイクル中間体にアルキンが挿入し、一挙に5員環と8員環が縮環した二環式化合物が良好な収率で得られることがわかった。本反応は既存の有機リン配位子ではほとんど進行しないことから、NHC配位子に特徴的な反応であると言える。また、本反応で得られる二環式化合物はセスキテルペン系の天然物の骨格に類似しており、天然物合成への応用を目指し検討を行っている。このように、当初目的としたNHC配位子による不斉ヒドロアシル化反応の開発には成功していないが、NHC配位子によるヒドロアシル化反応を経由する新たな環状化合物の合成法の開発に成功した。
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Research Products
(4 results)