2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規不斉ホスフェニウム塩触媒の開発と不斉四置換炭素構築反応への展開
Project/Area Number |
20790006
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原田 真至 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (10451759)
|
Keywords | 有機化学 / 不斉触媒 / 含窒素化合物 / ウレア型配位子 / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
触媒活性種のホスフェニウムカチオンはルイス酸性触媒中心として有効に働きうる事が明らかとなったが、実験操作上の問題から実用的なレベルでの反応進行のためにはホスフェニウムカチオン部位を安定化するための電子供与部位が必須であった。不斉触媒化を志向して含窒素不斉化合物を種々合成し、塩化リンと反応させる事で種々の不斉ホスフェニウムカチオン種前駆体を合成する事に成功した。これらの化合物はアルゴン雰囲気下冷凍庫で数ヶ月の保存が可能であった。しかしながら、この化合物群から反応系中で発生させた活性種からはいずれも光学活性な生成物は得られてこなかった。種々スペクトル解析から、反応系中では活性種が発生している事が示唆されたが、触媒活性中心に不斉環境が効果的に反映されていなかったと考えている。一方、ホスフェニウム塩形成のために新規に合成した含窒素不斉化合物の中で、Yb(OTf)3と組み合わせる事で、Danishefsky dieneのDiels-Alder反応を高収率・高エナンチオ選択的に進行させる化合物が見つかった。分子内に2つのウレア構造を持つビナフチル化合物のため"BINUREA"と命名した。当初BINUREAはロット間で明らかな形状の差異が生じ、それがDiels-Alder反応の再現性がばらつく原因となったが、触媒調製時の減圧乾燥条件の検討により問題を解決した。またBINUREAとYb(OTf)3からなる新規触媒は、既存の触媒系では不可能であった種々の基質の触媒的不斉Diels-Alder反応を再現性良く高収率・高エナンチオ選択的に与える事もわかった。さらに触媒構造の解明のため、示差熱-熱重量測定、粉末X線解析、ESI-MS解析を行った。
|