2008 Fiscal Year Annual Research Report
高活性複合系リチウム反応剤の構造研究に立脚した更なる活性化反応剤の開拓
Project/Area Number |
20790007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 康友 Kyoto University, 薬学研究科, 助教 (10452278)
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Keywords | 有機リチウム / NMR / 構造解析 / 多成分錯体 / 不斉反応 |
Research Abstract |
高活性複合系リチウム反応剤の構造研究を材料として、更なる活性化反応剤の開拓に挑戦する本研究では、何よりもまずリチウム反応剤の構造決定が第一課題である。その手法として、現在までに最も広く行われているのはX線結晶構造解析であるが、有機リチウムを反応に用いる際、多くの場合は実際の反応場が有機溶媒中であるため、反応活性種の考察という点では溶液中での構造研究が望ましい。近年有機リチウム反応剤の溶液中でのNMR研究が広く行われているが、同位体標識された6Liはシャープな線幅のピークを与えるため、6Liを用いた構造研究が広く行われている。また、リチウムアミドの構造研究においては、窒素同位体15-Nを用いると、6Li-15Nの両同位体元素間でカップリングが観測されるため、リチウムと窒素の結合に関する情報が広く得られる。 平成20年度は当研究室で設計・開発したキラルジエーテル配位子((1R,2R)-1,2-dimethoxy-1,2-diphenyl-ethane)とイソ酪酸エステル由来のリチウムエノラートとの錯体を1H,13C,6Li各種NMRで観測し、リチウムエノラートとジエーテル配位子の2成分錯体がモル比1:1で形成していることを確認した。また、リチウムエノラート、キラルジエーテル、リチウムアミドの3成分の等モル混合溶液中では、これら3成分の1:1:1錯体が形成していることも確認した。特に、6Li, 15Nで同位体標識したリチウムアミドを用いた場合に、6Li-NMRにおいて2組の2重線のピークを与えたことから、3成分錯体の形成が強く示唆された。
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