2010 Fiscal Year Annual Research Report
高活性複合系リチウム反応剤の構造研究に立脚した更なる活性化反応剤の開拓
Project/Area Number |
20790007
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 康友 京都大学, 薬学部, 助教 (10452278)
|
Keywords | 有機リチウム / NMR / 構造解析 / 多成分錯体 / 不斉反応 |
Research Abstract |
高活性複合系リチウム反応剤の構造研究を材料として、更なる活性化反応剤の開拓に挑戦する本研究では、何よりもまずリチウム反応剤の構造決定が第一課題である。その手法として、現在までに最も広く行われているのはX線結晶構造解析であるが、有機リチウムを反応に用いる際、多くの場合は実際の反応場が有機溶媒中であるため、反応活性種の考察という点では溶液中での構造研究が望ましい。近年有機リチウム反応剤の溶液中でのNMR研究が広く行われているが、同位体標識された6Liは鋭い線幅のピークを与えるため、6Liを用いた構造研究が広く行われている。また、リチウムアミドの構造研究においては、窒素同位体15-Nを用いると、6Li-15Nの両同位体元素間でカップリングが観測されるため、リチウムと窒素の結合に関する情報が広く得られる。 前年度までにリチウムエステルエノラート-キラルジエーテル-リチウムアミドの三成分複合反応剤がトルエン溶液中で生成することを確認している。平成22年度は三成分複合反応剤の立体構造について詳細な解析を行った。^1H-NOESY NMRおよび^1H NMRより、エノラートのリチウム原子にキラルジエーテルが5員環キレートしていること、さらにはエノラートの酸素原子、リチウム原子と、リチウムアミドの窒素原子、リチウム原子が4員環構造をとっている可能性が強く示唆された。錯体構造においてはジエーテル配位子由来のメチル基がエノラートπ平面の片側を効果的に遮蔽しており、これが高いエナンチオ選択性を発現する要因であると考えられる。
|
Research Products
(5 results)