2008 Fiscal Year Annual Research Report
活性有機ヨウ素反応剤による飽和C‐H結合の酸化とフェノール類の多官能基化
Project/Area Number |
20790009
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
土肥 寿文 Ritsumeikan University, 薬学部, 助教 (50423116)
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Keywords | 有機ヨウ素 / 酸化 / 環境対応 / C-H官能基化 / 機能性化合物 / 複素環化合物 / リサイクル / 有機触媒 |
Research Abstract |
近年では環境に易しい合成手法の開発が常に望まれており、C-H結合の直接的な官能基化は原料物質のハロゲン化やメタル化等の構造修飾を一切必要としない、簡便で廃棄物の少ない手法として注目されている。申請者は、毒性の少ない超原子価ヨウ素反応剤を利用する、緩和な条件下での比較的不活性なC-H結合の直接的官能基化を検討し、本年度は主に以下の成果を得た。 1. 超原子価ヨウ素反応剤と無機ブロミドとから生成する特異なI(III)-Br結合を有する高活性反応剤がラジカル的な反応性を有することを明らかとし、ベンジル水素の選択的活性化に基づく芳香族ケトン類の新規な直接的水中合成法を開発した。また、これらがLewis酸性をほとんど示さず、効果的にアルコール類を酸化することから、水中でのラセミ化フリーの環境調和型アルコール酸化法へと応用した。 2. I(III)-Br結合を有するヘテロ芳香族化合物を、高極性で求核性が低いフルオロアルコール溶媒中で用いると、通常は遷移金属無しでは進行しない炭素求核剤との置換反応が進行することを発見した。本事象を応用し、金属を一切用いない芳香族化合物の選択的カップリングによる、斬新なビアリール合成法の開発に成功した。 上記の結果に加え、次年度以降に行うフェノール類の多官能基の際に有用な独自の変換技術として、有機ヨウ素を触媒とする世界で初めてのC-C結合形成反応、および新規キラルヨウ素化合物を用いたフェノール類の高選択的な不斉酸化を実現した。
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Research Products
(27 results)