2008 Fiscal Year Annual Research Report
複合金属触媒によるプロパルギルアルコールの高速転位反応の開発と合成化学的応用
Project/Area Number |
20790015
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
江木 正浩 University of Shizuoka, 薬学部, 講師 (80363901)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 環境調和 / 転位反応 / 複合触媒 |
Research Abstract |
α, β-不飽和カルボニル化合物は、生物活性天然物、医薬品及び農薬などの重要な合成中間体として幅広く活用されている。これまで数多くの合成法が報告されているが、アトムエコノミーの観点から、近年、プロパルギルアルコールの水酸基1, 3-転位反応が注目を集めている。しかし、硫酸を初めとする強酸やバナジウム、レニウム及びチタンなどの金属触媒を用いる従来法では、低収率、高温条件、基質汎用性などに問題を抱えていた。一方、研究代表者は、金と銀触媒から生じるカチオン性金触媒が「アセチレン部を活性化する」と同時に、モリブデンが「水酸基を1, 3-転位する」二重活性化により、反応が劇的に加速することを見出した。本研究では、複合触媒系によるプロパルギルアルコールの転位反応について実用化を計り、以下の成果を得た。1. 本転位反応は、第2級及び第3級プロパルギルアルコールだけでなく、低反応性の第1級プロパルギルアルコールに対しても良好に進行した。また、アルデヒド、エステル及びアミドを含む多様なα, β-不飽和カルボニル化合物の合成に有効であることが明らかとなった。特に、α, β-不飽和アミド化合物の合成はこれまで例が無く、本法の適用性の広さを示している。本法は、室温下、短時間で高収率で目的物が得られることから、従来の問題点を解消した効果的な方法である。2.分子内にカルポニル基を有するプロパルギルアルコールに対して転位反応を行うと、連続して環化反応が進行し多置換型フラノンを合成することができた。本反応では、金と銀化合物の組み合わせがアセチレンの活性化だけでなく、水酸基の転位に関しても作用していることが分かった。
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