2009 Fiscal Year Annual Research Report
複合金属触媒によるプロパルギルアルコールの高速転位反応の開発と合成化学的応用
Project/Area Number |
20790015
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
江木 正浩 University of Shizuoka, 薬学部, 講師 (80363901)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 環境調和 / 複合触媒 / 固定化触媒 / フラン / ピロール / カチオン性金触媒 |
Research Abstract |
フランやピロールを始めとする様々な複素環化合物は、医薬品、生物活性物質や香料などの合成中間体として重要である。これまで多数の合成例が報告されているが、近年ではさらに、アトムエコノミーの観点から、多重結合を利用した遷移金属による分子内環化反応が精力的に開発されている。しかし、これらの従来法は基質汎用性の限界、使用する金属量、反応温度や時間、収率などに問題を抱えており、実用性が非常に乏しいものであった。一方申請者は、本課題研究の初年度(平成20年度)に、複合触媒系によるプロパルギルアルコールの転位反応を検討する中で、アセチレンを有するジオール及びアミノアルコール化合物が金と銀化合物より生じるカチオン性金触媒により分子内環化反応を起こすことを見出した。そこで本年度は、本法を複素環化合物の効率的合成法とするため種々検討を行った。その結果、0.0005-0.005当量の低触媒量で、室温で反応が良好に進行し、様々な置換様式及び官能基を持つフラン及びピロール化合物が高収率で得られる手法を確立した。反応スケールが数十gの場合でも本法は適応可能であるため、極めて有用性の高い方法である。また、金化合物の希少性と操作の簡便化を解決するため、固定化金触媒の創製を行った結果、ホスフィン配位子を含むスチレン型ポリマー担体へのカチオン性金触媒の固定化にも成功した。合成した固定化触媒は、1) 均一系触媒と同程度の活性、2) ろ過操作で定量的に回収でき、活性を損なうことなく4回まで使用可能、であることが分かった。
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