2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工合成ワクチンの創製を目指した簡便な糖鎖合成法の開発とその実践
Project/Area Number |
20790017
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
白畑 辰弥 Kitasato University, 薬学部, 助教 (30414056)
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Keywords | 糖鎖 / 機合成 / ワクチン |
Research Abstract |
本年度はカルバメートの特徴を生かしつつorthogonal glycosylationに適用出来る新たなグリコシルドナーを開発し、簡便に糖鎖を合成できる方法論を確立することを目的に本研究を行った。 【結果】(1)Orthogonal glvcoslatlonに適用出るグリコシルドナーの開発 Orthogonal glycosylationとは、保護基の脱着を行うことなしに条件を変えるだけで簡便に糖鎖を構築する方法論である。この方法を我々の方法に適用するためには、カルバメートとは異なる反応性を示す新たなグリコシルドナーの開発が必要である。そこで筆者は、硫黄をカルバメートに導入することで反応性の差が生じ、これらのグリコシルドナーの組み合わせがorthogonal glycosylationに適用できると考えた。既知であり簡便に合成できるトリクロロアセチルイソチオシアネートを用いてグリコシルドナーであるカルバモチオエートを合成した。これを用いてグリコシル化の検討を行ったところ、低温では反応が進行せず温度を室温まで上昇させてはじめて反応が進行することを見出した。 (2)Orthogonal glvcosvlationの検討 グリコシル化におけるカルバメートとカルバモチオエートの反応性の違いを利用し、one pot orthogonal glycosylationの検討を行った。まず、低温で1段階目のグリコシル化が終了するのを確認した後に、温度を40℃に上昇させ2段階目のグリコシル化を行った。反応はαα選択的に進行し、温度を変えるだけで簡便に三糖が得られた。 また、カルバメートは、one potで脱水的にグリコシル化出来る利点を有することから、この方法がone pot orthogonal glycosylarionにも適用できると考え検討を行い、one potで簡便に三糖を合成することが出来た。 【総括】(1)新たなグリコシルドナーとして、カルバメートに硫黄を導入したカルバモチオエートを合成することが出来た。また、そのグリコシル化においても良好な結果が得られた。(2)カルバメートとカルバモチオエートを用いて、グリコシル化を行ったところ温度を変えるだけで、αα選択的に三糖を合成することが出来、簡便に糖鎖を構築する方法を見出した。次年度はこの方法を応用させて他の糖に適用し、研究の拡大を行いたい。
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