2009 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム触媒による付加反応を鍵とするタンデム型ヘテロ環構築反応の開発
Project/Area Number |
20790021
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
栗山 正巳 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40411087)
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Keywords | 合成化学 / パラジウム / カルベン / 付加反応 / 複素環 / フタライド |
Research Abstract |
C-S二座型配位子-パラジウム触媒による付加反応を基盤とするフタライド骨格構築を標的としたタンデム型ヘテロ環構築反応の開発を行った。本反応開発では、主配位部として含窒素複素環カルベン、副配位部としてチオエーテル基を有する二座型配位子を用い、その柔軟性に富んだ配位によって金属触媒の性能を高めることで、優れた反応効率および基質一般性の実現を試みた。 合成ルートの選択肢を増やし、柔軟な合成計画を可能とするためにオルト位にアルデヒドもしくはボロン酸を有するベンゾエートを基質として検討した。オルト位にアルデヒドを有するベンゾエートを用いた場合は68%で目的とする付加環化体を得たが、オルト位にボロン酸を有するベンゾエートでは反応が全く進行しなかった。これらの結果を踏まえ、以後の検討はオルト位にアルデヒドを有するベンゾエートを用いて行うこととした。 次に、反応条件の検討を種々行うと、溶媒にtolueneを用いたときに78%まで収率が改善された。さらに、フェニルホウ酸を2.5当量まで増やすことで反応が定量的に進行し、97%収率で目的とする付加環化体を得た。以上の検討から得た最適条件を用い、基質一般性に関して検討を行った。立体障害、置換基による電子的影響、配位性ヘテロ原子の有無に左右されず、良好に反応が進行することが明らかとなった。アルケニル基の導入や電子豊富なアルデヒドを用いた場合でも収率の低下は観測されず、優れた基質一般性を有するタンデム型ヘテロ環構築反応の開発に成功した。
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Research Products
(5 results)