2008 Fiscal Year Annual Research Report
共役イミン類の反応多様性を活用した効率的且つ連続的結合形成反応の開発
Project/Area Number |
20790023
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上田 昌史 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 助教 (00340935)
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Keywords | ヒドロキシスルフィド / ラジカル反応 / 共役イミン / トリエチルボラン / チオール |
Research Abstract |
共役イミンの新規ドミノ型反応の開発を目指して、共役オキシムエーテルを基質とした位置選択的なラジカル付加反応と、それに続く酸素分子によるラジカル捕捉反応を経由した水酸基の導入反応を検討した。はじめに、β位にエステルを有する共役オキシムエーテルを基質として用い、トリエチルボランおよび酸素存在下、種々のチオール類とのヒドロキシスルフィド化を検討した。その結果、反応は位置選択的に進行し、良好な収率および立体選択性で目的のヒドロキシスルフィドが得られた。本反応は、トリエチルボランをラジカル開始剤としたヒドロキシスルフィド化反応の初めての例である。また、興味深いことに、共役アルデヒドを同条件に付したところ、ヒドロキシスルフィド化は進行せず、単純なMichael付加体のみが生成した。このことから、本ヒドロキシスルフィド化反応には、オキシムエーテル部分が必須であり、中間体であるα-イミノラジカルの安定性が本反応の進行に大きく寄与していることが分かった。また、反応経路の詳細な検討を行った結果、反応の初期段階においてトリエチルボランとチオールからチオボランが生成し、チオボランからのチイルラジカルの発生が本反応の鍵段階であると考えられる。また、共役オキシムエーテルのみでなく、共役ヒドラゾンのヒドロキシスルフィド化反応も同様に進行し、立体選択性が若干であるが向上した。さらに、様々な環状および鎖状の共役オキシムエーテルのヒドロキシスルフィド化反応を検討し、基質一般性を確めた。最後に、得られたヒドロキシスルフィドのγ-ラクタムへの誘導にも成功した。
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Research Products
(4 results)