2009 Fiscal Year Annual Research Report
共役イミン類の反応多様性を活用した効率的且つ連続的結合形成反応の開発
Project/Area Number |
20790023
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上田 昌史 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (00340935)
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Keywords | 共役イミン / ラジカル反応 / ヒドロキシアルキル化 / 酸化 / トリエチルボラン / ドミノ反応 |
Research Abstract |
共役イミン類は、多様な反応性を有しており、環化付加反応や1,2-付加反応および1,4-付加反応などの基質として用いられ、アミン類や含窒素複素環の合成に広く応用されている。しかし、これまでラジカル反応の基質として用いた例は、ほとんど報告されていなかった。そこで、共役イミンの新規ドミノ型反応の開発を目指して、炭素-炭素結合形成反応とヒドロキシル化を連続的に行うヒドロキシアルキル化反応を検討した。ラジカル開始剤としてトリエチルボランを用いてトルエン中、酸素雰囲気下、室温で反応を行ったところ、ヒドロキシエチル化体が収率良く得られた。また、本反応は溶媒効果を強く受け、ジクロロメタン中では、目的のヒドロキシエチル化体はほとんど得られず、エチルラジカル付加体が優先して生成した。一方、興味深いことに、Me_3Alを添加した場合、ジクロロメタン中でもヒドロキシアルキル化反応が効率的に進行することが明らかになった。次に、ヒドロキシアルキル化反応の反応経路を解明するため、種々の反応を検討し、さらに反応混合物の^<1>H-NMR測定および質量分析を行った。その結果、ボリルエナミンが反応中間体として生成し、酸素による酸化反応を経て水酸基が導入されることが明らかになった。すなわち、ボリルエナミンから酸素分子とのエンタイプの反応、もしくは、ボリルペルオキシラジカルの付加により、ボリルペルオキシドが生成し、続いて、還元、加水分解を経て、ヒドロキシエチル化体が得られたと考えている。以上のように、新規ドミノ型ラジカル反応として、共役オキシムエーテルを基質として用いたヒドロキシアルキル化反応の開発に初めて成功した。
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Research Products
(4 results)