2008 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族アミド不斉球状分子の合成とキラルナノ空間の構築
Project/Area Number |
20790024
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
桝 飛雄真 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 助教 (80412394)
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Keywords | 有機化学 / ナノ材料 / 結晶工学 / 不斉 / X線結晶解析 |
Research Abstract |
本研究は、不斉球状分子の自己集合によってキラルなナノサイズ空間を構築し、そのネットワーク構造によって機能物性を開拓することを目的とする。そのために、芳香族アミドを基本骨格とした不斉球状分子を合成し、その自己集合によってキラルナノ空間を有するネットワークを構築する。そして、キラルナノ空間を利用した不斉認識材料や不斉反応場の開発を目指す。 芳香族アミドを基本骨格とした不斉球状分子の合成を行った。アミド窒素上の置換基が異なる2種類の球状分子について、単結晶X線構造解析を行ったところ、分子間相互作用の違いによって、そのネットワーク構造が異なっていることが明らかになった。また結晶化条件の違いによって、結晶中に含有する溶媒分子が異なる疑似結晶多形が発生することもわかった。 アミド酸素がランタニド金属と配位結合を形成しやすいことを利用し、金属塩と球状分子の錯体を作成して、その結晶構造を解析した。その結果、球状分子単体では得られないより大規模な空孔を有するネットワーク構造が形成されていることが明らかとなった。また球状分子の置換基の違いや、金属の種類を変えることにより、様々なネットワーク構造を構築できることがわかった。現在、球状分子のラセミ体でのみ錯体ネットワーク構造が得られているが、今後キラル分割した試料を用いることによって、キラルなネットワーク構造の構築が可能であると考えられる。 なおこれらの結晶構造を解析するにあたり、大型放射光施設SPring-8での高輝度放射X線を用いた回折実験を行った。その結果、従来の研究室の装置では測定困難だった微小結晶について、構造解析に成功した。この知見は、今後幅広い有機化合物試料の微小結晶解析に役立てることができると考えられる。
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