2010 Fiscal Year Annual Research Report
安定な固相担持性金属触媒の開発とタルーシン誘導体合成への応用
Project/Area Number |
20790025
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山本 博文 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (70461366)
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Keywords | サルーシン / ノルサルーシン / ジピコリン酸 / 葉状体形成誘導活性 / 固相担持性触媒 / 炭素-窒素結合形成反応 / スルファメート / 辻-Trost型アリルアミノ化反応 |
Research Abstract |
平成22年度(~平成23年3月31日)の研究実施計画に準じて,サルーシンA環部のアキシャルメチル基が,藻類の葉状体形成誘導活性に不可欠な置換基であることを確認するため,エカトリアル型β-ノルサルーシンの合成研究を展開した.そして,障壁効果を利用したメチル基の異性化を鍵反応とすることで,目的としたβ-ノルサルーシンの合成(21段階,総収率4.8%)を達成した.β-ノルサルーシンは予想通り完全に活性が消失することから,作用発現におけるアキシャルメチル基の重要性を実験化学で初めて立証することができた.また,現象として確認されてきた藻類-サルーシン関連系によって引き起こされる一連のカスケードを分子生物学的見地から解き明かすため,そのツールとなるサルーシン蛍光標識体合成を指向してジピコリン酸部位に着目した誘導体合成を行った.計三種の誘導体を合成し,活性試験を行うことで,その中の一つから強力な葉状体形成誘導活性を確認した.今回得られた一連の知見により,報告者が次に目指すサルーシン標識体合成の糸口を確実に捕らえることができた。一方で,固相担持性水銀触媒を活用した新たな分子構築法の探索を展開した.そして,新たにアリルアルコールとスルファメートから固相担持性水銀触媒存在下,効果的に炭素-窒素結合形成反応が進行し,アリルアミン(付加体)が高収率に生成することを見出した.本手法は基質適応性も極めて高く,アルコールの活性化を必要としない辻-Trost型のアリルアミノ化反応として今後の合成研究に高い汎用性が期待される.
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