2008 Fiscal Year Annual Research Report
血小板粘着因子VWFが血流下でADAMTS13によって切断される構造基盤の解明
Project/Area Number |
20790030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 紀貴 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (50456183)
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Keywords | 構造生物学 / NMR / 血小板凝集 / VWF / ADAMTS-13 |
Research Abstract |
VWF-A2ドメイン領域 (G1491-R1668) の大量発現系の構築を行った。当該領域コードするDNAをVWF全長cDNAよりサブクローニングし、HisタグあるいはGST融合タンパク質として大腸菌により発現を行った。しかしながら、大腸菌を用いた発現系ではほとんどが不溶画分にインクルージョンボディーとして発現し、十分な目的蛋白質を得ることができなかった。そこで、真核細胞である酵母 (Pichia Pastoris) を用いた発現系を構築した。pPICZaに目的遺伝子を組み込み、メタノールにて発現を誘導した。その結果、培地上清に目的蛋白質の発現が確認された。目的蛋白質は濃縮後、糖鎖の切断を行い陰イオン交換カラムによる精製を行った結果、1L培養あたり5mg程度の収量が得られ、NMR解析が可能な発現系の構築に成功した。また、均一15N標識を施したA2ドメインを調製し、1H-15NHSQCスペクトルを測定したところ、1H軸方向に分散のよいシグナルを与えたことから、得られたA2ドメインは立体構造を保持していることが明らかとなった。今後、NMRシグナルの帰属をすすめ、変性剤添加にともなう構造変化を解析する予定である また、ADAMTS-13の活性発現に十分な領域を含む動物細胞発現系を取得し、Niアフィニティー精製により十分な純度で精製することにも成功した。今後得られたADAMTS-13を用いてA2ドメインの切断反応を行い、活性をチェックする。また、切断反応の際に必要とされる変性剤濃度と、A2ドメインの構造変化に必要な変性剤濃度がどのように対応しているかについても調べる。
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