2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製後修復に働くMUTYH-PCNA複合体の新生鎖修復機構の構造学的研究
Project/Area Number |
20790040
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 照也 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 助教 (40433015)
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Keywords | 構造生物学 / X線結晶構造解析 / DNA修復 / タンパク質複合体 |
Research Abstract |
酸化損傷塩基8-オキソグアニン(8-oxoG)はアデニンとミス塩基対を形成する内在性の変異原であり,DNAグリコシラーゼであるMUTYHが,8-oxoG : Aミス塩基対からアデニンを取り除く.その際,MUTYHは,DNA複製の足場蛋白質PCNAとの複合体形成を介して,新生鎖上のアデニンを特異的に取り除くことで突然変異の抑制に働く.本研究は,MUTYHの修復複合体のX線結晶構造解析を行い,MUTYHによるDNAの新生鎖修復機構の解明を行うことを目的としている.PCNAの大量調製系は既に確立しており,前年度の研究成果としてMUTYHの精製系の確立に成功した.本年度は,MUTYHとPCNA, DNAとの複合体形成条件の検討および結晶化を行った.精製したMUTYHとDNAとの結合を確認し,MUTYH-DNA複合体の結晶化条件の探索を行った.同様に,MUTYH-PCNA複合体についても結晶化実験を行った.現在のところ結晶は得られておらず,引き続き結晶化条件の探索を行っている.これらの実験と並行してMUTYHの発現領域の再検討も行い,全長に近いが発現領域の異なるコンストラクトを調製し,発現および可溶性画分への移行が見られる発現系を確立した.これらMUTYHの複数のコンストラクトを用いて,より安定かつ高純度で調製できる複合体サンプルについて結晶化条件の探索を行っていく.また,ヌクレオチドプール中の8-oxoGヌクレオチド除去に働く8-oxo-dGTP加水分解酵素MutTについては,これまでに動的蛋白質結晶学により一連の結晶内反応過程を明らかにしているが,結晶内反応の同期性がより高い条件を見出し,それらの条件での反応中間体の結晶構造を決定した.
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Research Products
(5 results)