2008 Fiscal Year Annual Research Report
CYP3A4の高分解能構造解析による薬物相互作用の分子論的解明
Project/Area Number |
20790046
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
安達 基泰 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (60293958)
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Keywords | シトクロームP450 / 医薬品代謝 / CYP3A4 / 大腸菌発現 / システイン / 構造活性相関 |
Research Abstract |
CYP3A4は医薬品代謝を担う主要な分子であり、CYP3A4の構造活性相関の研究は、新規医薬品設計の観点から極めて重要なテーマである。しかしながら、ヒト由来チトクロームP450の多くが可溶性タンパク質として大量発現させることが困難なため、本研究を推進するためには、確実に可溶性分画に回収される活性型CYP3A4の大腸菌大量発現系を構築することが重要な課題である。そこで、まず効果的な発現条件の検索を行った。その結果、CYP3A4の遺伝子を大腸菌発現に最適なコドンで人工合成し、低温発現システムを駆使することで可溶性のタンパク質として大腸菌での大量発現に成功した。さらに可溶性での発現効率を向上させ大量調製するために、シャペロンタンパク質の一つであるトリガーファクターとの融合タンパク質として大量発現に成功した。 また、高分解能回折データの取得できる蛋白質結晶を作製する場合、蛋白質の安定性が高い方が、より成功の可能性が高くなると考えられる。CYP3A4には、7個のシステイン残基が存在し、そのうち1つヘム鉄に結合しているものを除いて、6個遊離のシステイン残基が存在する。遊離のシステイン残基間のSS結合の形成が、不可逆的な蛋白質の凝集を促進していることから、機能に関係しない残りの遊離の6個のシステイン残基を部位特異的変異導入で他のアミノ酸残基に置換した(分子内部のCysをValに、分子表面のCysをSerに置換した)。その結果、野生型と同等のレベルで可溶性の発現タンパク質を得ることに成功した。 これらの結果は、CYP3A4の研究を進めていくうえで、基礎的な重要度の高い結果である。
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