2009 Fiscal Year Annual Research Report
CYP3A4の高分解能構造解析による薬物相互作用の分子論的解明
Project/Area Number |
20790046
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
安達 基泰 Japan Atomic Energy Agency, 独立行政法人日本原子力研究開発機構・量子ビーム応用研究部門, 研究職 (60293958)
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Keywords | シトクロームP450 / 医薬品代謝 / CYP3A4 / 大腸菌発現 / システイン / 構造活性相関 |
Research Abstract |
CYP3A4は医薬品代謝を担う主要な分子であり、CYP3A4の構造活性相関の研究は、新規医薬品設計の観点から極めて重要なテーマである。しかしながら、ヒト由来チトクロームP450の多くが可溶性タンパク質として大量発現させることが困難なため、本研究を推進するためには、確実に可溶性分画に回収される活性型CYP3A4の大腸菌大量発現系を構築することが重要な課題である。 本年度は、可溶性タンパク質として得ることに成功したCYP3A4が、ヘムを結合した活性型かどうかを確認するために、一酸化炭素差スペクトルを測定した。その結果、ヘム結合型のCYP3A4のスペクトルが観察されたことから、活性型CYP3A4が得られていることが証明された。しかしながら、活性型CYP3A4の割合は得られている可溶性CYP3A4の10%以下であった。今後、活性型CYP3A4の発現レベルを上げていく必要があるが、CYP3A4の高分解能結晶構造解析を完成させる上で非常に重要な情報を得ることができた。 また、CYP3A4と同じく薬物代謝に重要なCYP2B4を使ってCYP2B4の結晶化実験を実施したところ、結晶を得ることに成功し、3.0Aの分解能の回折データを得ることができた。このことからP450分子の結晶化条件を最適化し、高分解能回折データ取得のための良質な結晶の作製法を検討することが可能となった。 これらの結果は、薬物代謝に関わるP450の研究を進めていくうえで、基礎的で重要度の高い結果である。
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