2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20790050
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関根 勇一 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 助教 (20396295)
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Keywords | T細胞 / アポトーシス / AICD(活性化誘導性細胞死) / アダプター分子 / STAP-2 / 自己免疫疾患 / Caspase / シグナル伝達 |
Research Abstract |
アダプター分子STAP-2は、炎症反応時に様々な免疫系細胞において細胞内シグナルを正または負に制御する多機能性分子である。本研究では、T細胞の活性制御におけるSTAP-2の機能的役割、特に制御機構の破綻が重篤な免疫疾患の原因と考えられる、活性化増殖したT細胞の排除機構AICD : activation-induced cell death(活性化誘導性細胞死)に焦点をしぼり機能解析を行った。H20年度においては、AICDを引き起こすことが可能なヒト白血病T細胞株Jurkatをモデル細胞とし、STAP-2の過剰発現系によりAICD誘導時における機能解析を行った。H21年度はマウスを用いた動物実験により生体内でのAICDに対するSTAP-2の機能を解析した。 その結果、T細胞抗原レセプター(TCR)刺激によりマウス生体内でT細胞AICDを誘導する実験系を確立し、STAP-2ノックアウト(KO)マウスを用いて解析を行ったところ、STAP-2 KOによりAICDの誘導が有意に抑制された。またこの時、TCR刺激により誘導されるT細胞アポトーシスがSTAP-2 KOにより抑制されることも観察された。マウスT細胞を分離しFasによりアポトーシスを誘導すると、STAP-2 KO細胞では有意に細胞死が抑制され、アポトーシスの誘導に重要なカスパーゼ活性が減弱していることも確認できた。このことは、Jurkat細胞を用いた研究と一致する結果であり、アポトーシス誘導時にSTAP-2はカスパーゼの活性を亢進させることで細胞死を促進させる分子であることが強く示唆された。 以上よりSTAP-2は生体内でもT細胞のAICD制御していることが明らかになり、STAP-2によるアポトーシスの制御がT細胞の恒常性維持に重要な役割を担っていることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)