2008 Fiscal Year Annual Research Report
ベータブロッカーにより引き起こされるG蛋白質非依存性のシグナリングとその意義
Project/Area Number |
20790066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仲矢 道雄 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 助教 (80464387)
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Keywords | 薬理学 / シグナル伝達 / FRET |
Research Abstract |
βアドレナリン受容体遮断薬(βブロッカー)は心不全治療薬として使用されている。しかし、すべてのβブロッカーが同じ程度の効果を示すわけではない。心不全治療薬として臨床でよく用いられているカルベジロール、メトプロロールを比較した大規模臨床実験(COMET試験)によりカルベジロールの優位性が示された。本研究では、カルベジロールとそれより薬効の劣るメトプロロールの作用の違いを心臓の線維化に関与する細胞内シグナリングの観点より明らかにすることを目的とする。siRNAを用いた実験によりすでに我々はメトプロロールのみがβ1アドレナリン受容体を介し、βアレスチン1、2のうちβアレスチン2に依存して心臓の線維化に関与するシグナルを伝えることを見出していた。そこで我々はメトプロロール依存的なβ1アドレナリン受容体とβアレスチン2との相互作用を2分子間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法により示そうと考えた。そのためにβ1アドレナリン受容体にCFPを付加したコンストラクト、およびβアレスチン1あるいは2にYFPを付加したコンストラクトを作成した。その後、アレスチン1/2とYFPの融合タンパク質をstableに発現するHEK293細胞を樹立した。また、メトプロロールとカルベジロールによるβ1アドレナリン受容体の構造変化の違いを明らかにするために、β1アドレナリン受容体をベースにしたFRETプローブを3種類作成した。具体的にはβ1アドレナリン受容体のC末端にCFPを、YFPに関しては細胞内の3つのループ(β1アドレナリン受容体は7回膜貫通型受容体である。)のそれぞれの部位に導入した。さらに上記2種の薬剤によって惹起されるβ1アドレナリン受容体の下流のシグナル伝達の違いを解明するために、環状ヌクレオチド感受性チャネルをベースにした細胞内cAMP膿度測定用のFRETプローブも作成した。
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