2008 Fiscal Year Annual Research Report
PGE2受容体を介するβアミロイドの産生制御とそのアルツハイマー病治療薬への応用
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20790067
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
星野 竜也 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (70457589)
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Keywords | PGE_2 / βアミロイド / cAMP |
Research Abstract |
前述のように我々は、PGE_2によるβアミロイド産生促進にEP_2、及びEP_4受容体が関与することを報告している。EP_2、及びEP_4受容体の活性化は何れも、アデニレートシクラーゼを活性化しcAMP濃度を上昇させる。しかし、EP_2受容体依存のβアミロイド産生促進はcAMP上昇を介するものの、EP_4受容体依存の方は介さないという驚くべき結果を得た。そこで我々は、PGE_2によるβアミロイド産生促進機構に関して、EP_2受容体依存の経路、及びEP_4受容体依存の経路それぞれを検討した。EP_2受容体依存の経路に関しては、既にcAMP依存に活性化されるPKA(リン酸化酵素)の阻害剤により、EP_2受容体アゴニストによるβアミロイド産生促進が阻害されることを見出している(Hoshino et.al. submitted)。そこでPKAにより活性化(不活性化)される因子の阻害剤やsiRNAなどを用いて、PKAの下流経路を明らかしようと検討しているが、現在のところはっきりとした結果は得られていない。 一方、EP_4受容体依存の経路に関して我々は、EP_4受容体の内在化(膜上の蛋白質が膜小胞(エンドソーム)を介して細胞内に再輸送されること)が関与していることを示唆している。そこで本研究で我々は、組織免疫染色法や細胞分画法などを用いて、PGE_2に依存したEP_4受容体の内在化を確認した。また、APPやセクレターゼ(何れも細胞膜上に存在)が、PGE_2、及びEP_4受容体依存的に内在化されることを見いだした。以上の結果は、EP_4受容体がAPPやセクレターゼと結合し、PGE_2依存的にAPPやセクレターゼを内在化することにより、βアミロイドの産生を促進している可能性を示している。
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