2009 Fiscal Year Annual Research Report
PGE2受容体を介するβアミロイドの産生制御とそのアルツハイマー病治療薬への応用
Project/Area Number |
20790067
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
星野 竜也 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 助教 (70457589)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / ネプリライシン / EP_4受容体 / 血液脳関門 |
Research Abstract |
アルツハイマー病の発症にはβアミロイドの産生促進以外にも、ネプリライシン依存のβアミロイド分解の抑制、タウ蛋白質リン酸化の促進、グリア細胞におけるβアミロイド貪食の抑制なども関与している。そこでこれらの現象に対するEP_2、EP_受容体アゴニスト・アンタゴニストの効果を検討し、アルツハイマー病におけるEP_2、EP_4受容体の役割の全体像を明らかにするのが本研究の目的である。この研究は、EP_2、EP_4受容体どちらのアンタゴニスト(あるいは両方ともに作用するアンタゴニスト)が、アルツハイマー治療薬としてより有望かを判断するために必要である。今年度我々は、グリア細胞におけるβアミロイド貪食に対するEP_2、EP_4受容体アゴニスト・アンタゴニストの効果を検討した。その結果、EP_4受容体アゴニストが、グリア細胞におけるβアミロイド貪食を阻害し、EP_4受容体アンタゴニストが逆に促進することを見出した。以上の結果は、EP_4受容体はこれまで知られていた、受容体の内在化、γセクレターゼの活性化を介して、βアミロイドの産生を促進するだけでなく、グリア細胞におけるβアミロイド貪食の阻害も介して、アルツハイマー病の進行を促進している可能性を示している。また我々は、EP_4受容体アンタゴニストを脳内に直接投与した場合にはβアミロイド産生を抑制するが、静脈から投与した場合には抑制しないことを見出した。即ち、この薬剤は脳内移行しない、即ちBBB(血液脳関門)を通過しない薬剤であると考えられるので、DDS技術を用いて脳内移行させる方法を現在検討している。
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