2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳形成を司る分泌蛋白質リーリンの、分布と機能部位を制御する分子メカニズム
Project/Area Number |
20790069
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
馬場 敦 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 助教 (70405215)
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Keywords | 脳・神経 / 発生・分化 / 分泌蛋白質 |
Research Abstract |
分泌蛋白質リーリンは、大脳の層構造が形成される過程に必須の分子であり、その遺伝子変異はヒトにおいて脳構造の形成異常をひきおこす。このような破綻は精神遅滞等の高次機能障害の原因となるが、実際に発生過程の脳形成時に『いつ、どこで』リーリンが機能するのかは明らかでない。本研究では、リーリンタンパク質の分布を制御する分子機構を同定しその分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。 (1) リーリン蛋白質の受容体結合部位を用いた結合実験をおこなったところ、機能的なリーリン受容体は脳室付近で新生したばかりの神経細胞に発現しており、その後神経細胞が最終位置に移動し最終位置に移動するまでに速やかに消失することが明らかとなった。この結果は発生過程において、リーリンの機能する場所が受容体を発現する細胞により制御されることを示唆しており、学術論文として北米神経科学会誌に掲載された。リーリンシグナルの活性化状態を標識する抗体の作成には至らず、実際にリーリンが機能している部位・時期の精密な解析には至らなかった。これらの抗体については現在引き続き作成中。(2) リーリン蛋白質が結合する細胞外基質の検索をおこない、結合候補分子としていくつかの糖蛋白質を同定した。これらの候補分子は同じく脳の発生過程を制御する分泌蛋白質を一時的に細胞外に滞留させることが知られている。このことから、リーリン蛋白質はこれまで考えられていたように分泌された後単純に拡散し機能するのではなく、細胞表面に一時的に提示され機能するものと考えられる。現在リーリンC末端領域変異マウスの脳内リーリンを精製中であり、候補分子とC末端領域との結合について確認中である。
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