2009 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の神経系および筋肉に発現するABC輸送体HAFー2の機能解析
Project/Area Number |
20790071
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
白石 博久 Iwate Medical University, 薬学部, 講師 (80393156)
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Keywords | 細胞組織 / 生体分子 / 線虫 |
Research Abstract |
HAF-2は、線虫の神経系、筋肉、腸第一細胞、およびシエロモサイト(貪食細胞)に発現するABC輸送体である。前年度は、シエロモサイトに着目した解析を進め、HAF-2がリソソーム様の細胞内顆粒に局在していること、また、その顆粒の形成や細胞外からの異物の取り込みには必須でないことを明らかにした。 平成21年度は、まず、基質輸送活性に関わると予想されるWalkerA配列に変異(K567M)を導入したHAF-2の強制発現を試みた。その結果、シエロモサイトにおける局在顆粒の形態には特に顕著な異常は観察されなかった。同じくABC輸送体であるHAF-4が、WalkerA変異体の強制発現によってドミナントに腸内非酸性リソソーム様顆粒の形成異常を引き起すこと、更に、消化管全体に異所的にHAF-2を発現させた個体においては、HAF-2がHAF-4とは明らかに異なる細胞内局在パターンを示したことから、HAF-2がその発現組織において果たす機能は、消化管におけるHAF-4のそれとは異なる可能性が示唆される。各組織におけるリソソーム様顆粒の多様性の一端を、組織特異的な細胞内ABC輸送体が担っているのではないかと考えられる。 更に、シエロモサイト以外の組織でのHAF-2の細胞内局在を解析した。HAF-2::GFPは、DiI染色陽性の感覚神経である頭部のアンフィド神経や尾部のファスミド神経の細胞体内部に局在していた。筋肉の解析については、観察に耐え得るレベルのHAF-2::GFPを安定に発現する個体の作製が計画通りに進んでいない。 haf-2欠損変異体を用いた解析の結果、成長遅延および短寿命に加え、産卵数の減少、排泄周期の延長、および便秘頻度の増加が観察された。これらの表現型が、本来HAF-2の発現しているいずれの組織の機能不全によるものかについては明らかにできていないが、細胞内輸送体の欠損が個体レベルの多様な生理機能に微妙な影響を及ぼしうることを見出したという点で意義深い。
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