2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20790074
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
伊藤 政明 Takasaki University of Health and Welfare, 薬学部, 助教 (30438759)
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Keywords | 細胞外ヌクレオチド / マクロファージ / プロスタグランジン / 細胞内情報伝達 / 炎症反応 / プリン受容体 |
Research Abstract |
細胞外ヌクレオチドは種々のメディエーターと相互作用し、炎症反応の初期応答因子として働くことが知られている。我々はマウスマクロファージ由来のJ774細胞において、UDPの受容体であるP2Y 6受容体を介したGq-ボスホリパーゼC(PLC)の活性化が細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)を上昇させてケモカインの放出を促進すること、それらの応答をプロスタグランジンE 2(PGE_2)がEP2受容体を介して抑制することを報告した。本年度の検討結果から、J774細胞においてPGE_2は他のGq共役型受容体を介する[Ca^<2+>]i上昇も抑制したことから、Gq-PLC-Ca^<2+>シグナルに共通する経路を阻害すると考えられた。PGE_2は直接的なG蛋白質活性化によるホスファチジルイノシトール(PI)代謝亢進は抑制したが、細胞外からの流入Ca^<2+>によるPI代謝亢進は抑制しないことから、G蛋白質とPLCとの相互作用を阻害している可能性が考えられた。また、PGE_2は主にEP2を介してアデニル酸シクラーゼのType7(AC7)を刺激してcAMP-プロテインキナーゼA(PKA)を活性化すると考えられた。本細胞にはPLC-β3のみが発現しており、その1105番目のセリン残基のリン酸化は機能を抑制することが報告されている。しかし、PKA阻害薬処理やAC7遺伝子ノックダウンによりcAMP産生を阻害してもPGE_2の抑制作用は消失しなかった。以上より、EP2を介するPLC活性制御にはAC-PKA以外の新しい機構が関与すると考えられた。Gq-PLCシグナルは種々のホルモンや神経伝達物質からの情報が収束される経路であり、本研究成果は、Gq-PLCシグナルの抑制を標的にすることで、興奮性の生理機能応答を背景とする疾患に対して、受容体遮断薬よりも広いスペクトルを持つ治療戦略をもたらすものと期待される。
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