2008 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋細胞特異的接着分子Hic-5欠損マウスの解析
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20790076
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
金山 朱里 Showa University, 医学部, 講師 (10338535)
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Keywords | Hic-5 / ノックアウトマウス / 動脈硬化 |
Research Abstract |
本研究で解析を行ったHic-5遺伝子は、ECMと細胞の接着点にある細胞接着斑タンパク質をコードし、同じLIMドメインファミリーに属するパキシリン(Paxillin)と高い相同性を示すアダプター蛋白質である。我々はこれまでにHic-5蛋白質がマウスおよびヒト組織では、血管、消化管、子宮などの平滑筋細胞特異的に発現が観察される分子であることを明らかにした。さらに興味深いことに、ラット総頚動脈ヘバルーン血管障害モデルの手術を行う際にアデノウイルスベクターを用いて血管壁の細胞にhic-5遺伝子を発現させ、新生内膜肥厚度の変化を検討したところ、Hic-5の強制発現により病変組織である新生内膜の肥厚抑制が観察され、Hic-5の動脈硬化病変形成過程への関与が示された。そこで本年度は、作製に成功したHic-5遺伝子のホモ欠損マウスを用いて動脈硬化病変形成に関する研究を行った。具体的には、Hic-5欠損マウス大腿動脈にヒト血管拡張療法(PTCA)の術後再狭窄モデル術を施行して血管を損傷させ、病変部の詳細な解析を行った。その結果、Hic-5欠損マウスでは、傷害部位の中膜平滑筋層の病状悪化、および血管内腔側に形成される新生内膜肥厚が促進した組織像が観察された。さらにその原因として、慢性期の血管壁構成細胞のアポトーシス頻度上昇、血管中膜および新生内膜組織の平滑筋細胞分化マーカーの発現量低下が見いだされている。また新生内膜の構成成分が野生型マウスとは異なり血栓像が多く見られた。Hic-5は以前、巨核球から血小板への最終分化過程で発現が急激に上昇し、成熟血小板内に発現することが報告されている。今後はHic-5の血管恒常性維持への関与と、血管障害度の変化を中膜平滑筋層と血小板血栓形成能という側面からの検討を視野に入れる。
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Research Products
(2 results)