2009 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋細胞特異的接着分子Hic-5欠損マウスの解析
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20790076
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
金山 朱里 Showa University, 医学部, 講師 (10338535)
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Keywords | Hic-5 / 動脈硬化 / 細胞接着 |
Research Abstract |
動脈硬化発症過程に深く関与する血管中膜平滑筋細胞は、周囲を豊富な細胞外マトリックス(ECM)に取り囲まれ、病変部の細胞外環境変化により容易に脱分化する特徴を持つためECMの重要性が認識されている。本研究で解析を行うH202-inducible clone-5 (Hic-5)は、細胞外マトリックス(ECM)と細胞の接着点にある細胞接着斑アダプター蛋白質である。この遺伝子は約15年前に過酸化水素とTGF-βに応答し発現誘導される遺伝子としてクローニングされた。その後我々は、Hic-5はマウスおよびヒトの血管平滑筋細胞に発現し、平滑筋細胞の細胞収縮制御に関与する事を明らかにした。またアデノウイルスベクターを用いた血管壁へのhic-5の強制発現により血管傷害部位の新生内膜肥厚が抑制されることを報告した。本年度は並行して作製を行ってきたhic-5ノックアウトマウスを用いてHic-5の動脈硬化病変形成過程への直接的な関与を検討した。具体的には、大腿動脈にバルーン血管障害モデル術を行ったところ傷害部位の中膜平滑筋層の回復抑制、および血管内腔側に形成される新生内膜肥厚が促進という変化が現れた。その理由として、ノックアウトマウス血管病変では、慢性期に入っても持続的にアポトーシスが起きていたことが挙げられる。さらに分離培養平滑筋細胞を用いた結果から、このアポトーシスはメカニカルストレスが原因であることが示唆された。またノックアウトマウス病変部の平滑筋細胞では、接着斑マーカーであるvinculinが通常の接着斑内局在を見せず、細胞質中に拡散していた。
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Research Products
(1 results)