2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内型ホスホリパーゼA1ファミリーの精巣での役割の解明
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20790078
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
有光 なぎさ Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 助教 (40408688)
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Keywords | 精巣 / 遺伝子欠損マウス / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
グリセロリン脂質のsn-1位のエステル結合の加水分解(phospholipase A_1活性:PLA_1活性)を触媒するPA-PLA_1(2009よりintracellular PLA1:iPLA_1αと名称変更)は様々な生物間で保存されている。PLA_1活性はウシ未成熟精巣に比べ成熟精巣において活性が強くなることから、精子形成に重要な機能をもつと思われるが、個体レベルでの機能解析はない。iPLA_1αは小胞輸送に関わる事が示唆されているタンパク質p125(iPLA_1β)とKIAA0725p(iPLA_1γ)とファミリーを形成する。精巣での機能を調べるために、今年度は作製できた欠損マウスiPLA_1βについて配偶子形成への影響を調べた。iPLA_1αはヘテロ欠損ES細胞を得たが、ジャームライントランスミッターが得られていないため、用いるES細胞の系統を変えたり、ターゲティングベクターの構造を変えた条件を再検討し、インジェクションによりキメラマウスを作製している。一方、作製できた欠損マウス同士、欠損マウスと野生型との組み合わせて産仔数の減少が見られるか調べた所、雄β欠損マウスを用いた場合に、産仔数が得られにくい事が判明した。そこで、受精過程における異常であるか否かについて、欠損オス精子を用いて体外受精実験を行い、その受精率を調べた所、受精後第2極体の放出及び2細胞への卵割を示す割合が少なかった。このことは、受精できない精子が欠損マウスにおいて存在することを示す。iPLA_1βのマウス臓器での発現解析を行い、特に精巣において発現が高いが精子中には発現せず、精巣の精母細胞後期から精細胞初期にかけて発現されることを見出した。今回の結果から、iPLA_1βは精子上に存在して直接的に受精に関与している訳ではないが、精子形成過程において重要な機能をしていると考えられる。
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