2009 Fiscal Year Annual Research Report
緑膿菌多剤排出系MexXY抗菌薬誘導性に関与する遺伝子PA5471に関する研究
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20790079
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
森田 雄二 Aichi Gakuin University, 薬学部, 講師 (00454322)
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Keywords | 遺伝子 / 抗生物質 / 細菌 |
Research Abstract |
機能未知タンパク質PA5471(すなわち多剤排出系MexXY)の抗菌薬誘導性を解明するため、PA5471遺伝子とその上流遺伝子PA5472の遺伝子間領域(367塩基対)に関して詳細に調べた。 PA5471遺伝子の約250塩基対上流に典型的なリボソーム結合部位領域に続く13のアミノ酸残基からなるオープンリーディングフレーム(PA5471.1と命名)が存在することを見出した。PA5471.1の翻訳はPA5471(mexXY)の転写抑制に、PA5471.1の翻訳抑制はPA5471(mexXY)の転写誘導に関与することを明らかにした。さらにPA5471.1の104塩基対上流に転写開始部位があることを同定した。またPA5471.1とPA5471遺伝子問領域(212塩基対)について調べたところ、GC含量は65%と緑膿菌ゲノム全体のもの(66.6%)とほぼ一致しているが、C含量が41%、G含量24%と偏っていることが分かった。これは大腸菌のRho依存的転写終結配列の特徴と一致しているが、緑膿菌のRho因子に関する報告は全くない。緑膿菌には、大腸菌のRhoと92%の類似性を示す推定rho遺伝子PA5239が存在する。トランスポゾンライブラリーが利用できないことや大腸菌のrho遺伝子は必須遺伝子であることから、PA5239は必須遺伝子であると考えられる。緑膿菌で厳密な転写制御が可能な系を構築し、それに遺伝子破壊系を組み合わせることにより、緑膿菌の条件的遺伝子破壊法を開発した。核酸合成に関与するrho遺伝子だけでなく、タンパク質合成に関与する遺伝子や細胞膜/細胞壁合成に関与する遺伝子の条件的遺伝子破壊株を構築した。現在これらの条件的遺伝子破壊株を用いてPA5471/MexXYの遺伝子発現の影響を観察しているところである。 多剤排出系MexXYは、作用標的がリボソームである抗菌薬によりPA5471.1の翻訳抑制が起こり、その結果PA5471(すなわちmexXY)の転写誘導が起こることが分かった。Rho転写終結因子もMexXYの抗菌薬誘導性に関与する可能性が考えられる。さらにPA5471タンパク質の機能に関して解明したい。
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