2009 Fiscal Year Annual Research Report
コンドロイチン硫酸の硫酸化による細胞分化制御機構の解明
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20790080
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
三上 雅久 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (20330425)
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / グリコサミノグリカン / 神経突起伸長 / 糖鎖 / 発現制御 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 酵素 |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸(CS)は、細胞表面や細胞外マトリックスに普遍的に存在する硫酸化糖鎖で、形態形成や細胞間相互作用などのあらゆる生命現象に関与する。本研究では、CSが豊富に存在する脳神経系や軟骨組織に焦点を当て、その代表的な細胞分化過程である「(1)神経突起形成」と「(2)軟骨分化」におけるCSの硫酸化の機能解明を目的として以下の解析を行った。 (1). 高硫酸化構造をもつCSバリアントであるCS-DやCS-Eには、神経突起の伸長を促進する作用があることが知られている。昨年度の本研究課題により、神経細胞上に発現する細胞接着分子の一つであるcontactin-1が、CS-Eを認識するCS受容体として機能することを見出し、CS-Eが神経突起伸長を促進するシグナル分子として振る舞うというCSの新たな機能的側面を明らかにした。興味深いことに、CS-Eとは異なる構造をもつCS-Dによって誘導促進される神経突起の形態は、CS-Eにより誘導される形態とは異なるが、CS-Dについても、CS-Eと同様にcontactin-1と高い結合親和性を示すことがわかった。これらの結果から、CS-Dによる神経突起伸長制御作用の一部は、contactin-1との相互作用を介して発揮されることが示唆された。 (2). 軟骨分化におけるCSの役割を調べる目的で、モデル細胞株であるATDC5細胞の軟骨分化に同調した発現変化を示すコンドロイチン4-0-硫酸基転移酵素-1(C4ST-1)の発現をノックダウンしたところ、C4ST-1により合成・修飾されるCSの発現が減少するとともに、軟骨基質産生を伴う軟骨細胞への分化過程が著しく障害されることが判明した。このことから、特定の硫酸化構造をもつCSが軟骨分化を積極的に制御する分子として機能しうることがわかった。
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