2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変細胞・動物を用いたビタミンDとKの分子栄養学的骨形成作用の解析
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20790082
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中川 公恵 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (90309435)
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Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体 / CYP27B1 / 1α, 25-D3 / ノックアウトマウス / ビタミンK / MK-4 / SXR |
Research Abstract |
ヒトでは、ビタミンD栄養状態の指標である血中25-Hydroxyvitamin D濃度が低値である程、骨粗鬆症の発症率が高くなることが疫学研究により明らかにされている。また、骨基質タンパク質のGla化を担い、骨質改善効果が報告されているビタミンKには、血中ビタミンK濃度と骨折率に負の相関性が認められている。しかし、ビタミンDとビタミンKの相互の影響に関しては不明な点も多い。本研究では、遺伝子欠損あるいは改変細胞・動物を用い、骨形成におけるビタミンDとビタミンKの相互作用の解析を行っている。 ビタミンKの作用については、骨芽細胞に対する作用を解析した。まず、ビタミンKの種々の同族体を用いて、それらが細胞内で活性リガンドとしての作用を有するメナキノン-4(MK-4)に変換されるのかを検討した。その結果、すべての同族体が骨芽細胞内でMK-4に変換された。この変換は、マウスに安定同位体標識した各ビタミンK同族体を投与した場合にも認められ、骨中MK-4濃度が増加した。また、MK-4がsteriod and xenobiotic receptor (SXR)のリガンドとして細胞外基質タンパクの発現を促進することから、MK-4および新規ビタミンK誘導体のSXRを介した活性の評価系として、SXR応答配列(SXRE)を組み込んだluciferase reporter assayおよびSXR-GAL4 hybrid luciferase assayを構築した。 ビタミンDの作用については、骨芽細胞に対する石灰化促進作用を検討した。その結果、ビタミンDである1α, 25-D3の添加により石灰化が亢進すること、骨芽細胞においてビタミンD受容体(VDR)を欠損させるとさらに石灰化が亢進することがわかった。また、ビタミンD1位水酸化酵素(CYP27B1)を欠損させたマウス(CYP27B1-KO)を作出した。このマウスは、先天的に1α, 25-D3欠乏となり、くる病症状を呈した。このCYP27B1-KOに、骨粗鬆症治療薬として臨床応用の可能性があるビタミンD誘導体の投与を行うことにより、今後内因的な1α, 25-D3の影響なく、ビタミンD誘導体のみによる骨形成作用が解析可能となる。
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Research Products
(8 results)