2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変細胞・動物を用いたビタミンDとビタミンKの分子栄養学的骨形成作用の解析
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20790082
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中川 公恵 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (90309435)
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Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体 / CYP27B1 / 1α,25-D3 / ノックアウトマウス / ビタミンK / MK-4 / SXR |
Research Abstract |
ヒトでは、ビタミンD栄養状態の指標である血中25-Hydroxyvitamin D濃度が低値である程、骨粗鬆症の発症率が高くなることが疫学研究により明らかにされている。また、骨基質タンパク質のGla化を担い、骨質改善効果が報告されているビタミンKには、血中ビタミンK濃度と骨折率に負の相関性が認められている。しかし、ビタミンDとビタミンKの相互の影響に関しては不明な点も多い。本研究では、遺伝子欠損あるいは改変細胞・動物を用い、骨形成におけるビタミンDとビタミンKの相互作用の解析を行った。 ビタミンKの作用については、骨芽細胞に対する作用を解析した。昨年にビタミンK同族体が細胞内でメナキノン-4(MK-4)に変換されることを明らかにしたことから、MK-4の側鎖構造に修飾を加えた誘導体を合成し、MK-4への変換活性およびsteriod and xenobiotic receptor (SXR)のリガンドとしての活性を評価した。その結果、側鎖の不飽和度やメチル基の有無により、MK-4への変換効率やSXRを介した作用が異なることが明らかとなった。また、骨芽細胞においてMK-4を生合成する酵素の探索を行い、ビタミンK同族体をMK-4へ変換する活性を有する酵素と予想される候補因子を見いだすことに成功した。 ビタミンDの作用については、昨年作出した先天的に1α,25-D_3欠乏となり、くる病症状を呈するビタミンD1位水酸化酵素(CYP27B1)遺伝子欠損マウス(CYP27B1-KO)を用いて、ビタミンD誘導体による作用を解析した。CYP27B1-KOマウスを離乳後、すぐにビタミンD誘導体を投与し、6週間飼育後における骨の状態を解析した。その結果、ビタミンD誘導体を投与することにより、CYP27B1-KOマウスに出現する低Ca血症、骨形成異常や成長不全は完全に回復した。このことから、今回初めて内因的な1α,25-D3の影響なく、ビタミンD誘導体のみによる骨形成作用を解析することに成功した。
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Research Products
(8 results)