2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショックタンパク質72のC末端配列が初期免疫に果たす役割
Project/Area Number |
20790083
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
太野 路子 Yasuda Women's University, 助手 (80454875)
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Keywords | 生体防御 / 炎症 / Hsp / ストレス応答 |
Research Abstract |
通常HSPは細胞内に存在し、分子シャペロンとして機能している。一方近年では、細胞の傷害時における、細胞外でのHSPの免疫学的な機能が注目されている。申請者は、これまでにマウス誘導型Hsp72およびそのC末端欠失変異体とlymphoid neoplasm P388D1細胞が特異的に結合し、この結合にはC末端の構造が関与していることを明らかにしている。本研究では、Hsp72C末端領域野構造の免疫系での働きについて明らかにすることを目的とした。昨年度この結合における、P388D1細胞での種々の炎症性サイトカイン発現をRT-PCRにより検討したが、特異的なサイトカインの発現はみられなかった。そこでマウス腹腔マクロファージについて検討したところ、C末端が欠失するにつれ結合が強くなる傾向がみられ、IL-1βの発現がみられた。しかし、IL-1βの発現に対するC末端領域の関与については認められなかった。次に、マウス腹腔マクロファージを用い、貪食能についてフローサイトメーターを用いて検討した。いずれのHsp変異体においても貪食能の亢進が観察されたが、変異体による差異はみられなかった。 HSP72の一時配列は異生物種間においてもよく保存されているが、C末端領域の配列は多様性に富む。そこで、この違いが異種生物の侵入などの自己非自己の見極めに関与するという仮説のもとに、現在ヒトおよび大腸菌のHSP70組換えタンパク質の発現を試みており、生物種の違いによる影響を検討する予定である。 一方、腸管におけるモデル系の構築も試みている。腸管は生体における最大の免疫器官であり、食物や腸内細菌等の多くの外来異物と直接接触する器官である。腸管免疫系における細胞外のHSPの機能について、ヒト小腸上皮細胞Caco-2を用いた検討を予定している、またこの際、ヒト単球細胞THP-1とCaco-2の共培養モデル系を構築する為に現在研究を進めている。
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