2008 Fiscal Year Annual Research Report
連続した塩基性アミノ酸配列がリボソームによる翻訳反応を停止させる分子基盤の解明
Project/Area Number |
20790095
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋光 信佳 The University of Tokyo, アイソトープ総合センター, 准教授 (40294962)
|
Keywords | 翻訳 |
Research Abstract |
終止コドン欠失型の異常メッセンジャーRNA (ノンストップmRNA) からの蛋白質産生は、翻訳段階で抑制されている。こめ翻訳抑制のメカニズムを解析する過程で、リジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸が連続すると、リボソームによる翻訳反応が特異的に停止することを見出した。この結果は、連続した塩基性アミノ酸配列がリボソームと特異的に相互作用して、翻訳反応を強制的に停止させる細胞内機構の存在を示唆している。さらに、バイオインフォマティクス解析から、ヒトゲノム中には塩基性アミノ酸の連続配列をコードする遺伝子が多数存在すること (全遺伝子数の約0, 7%に相当) が判明した。さらに、ウイルスゲノムにコードされる遺伝子にも塩基性アミノ酸の連続配列をコードする遺伝子が見出された。これらの結果は、塩基性アミノ酸の連続配列による翻訳抑制現象が、種を超えて、様々な遺伝子の発現制御に利用されている基盤的遺伝子発現制御機構であることを示唆している。本研究の目的は、塩基性アミノ酸の連続配列と相互作用するリボソーム側因子を同定することで、塩基性アミノ酸の連続配列による翻訳抑制機構の分子メカニズムを明らかにすることである。平成20年度では、バイオインフォマティクス解析で見出された塩基性アミノ酸の連続配列をコードする267個のヒト遺伝子の一部について、該当遺伝子の全長、あるいは塩基性アミノ酸連続配列ドメインをルシフェラーゼ遺伝子と連結させたキメラ遺伝子を構築した。これにより、本計画実施に必要となる実験システムを構築できた。
|
Research Products
(1 results)