2008 Fiscal Year Annual Research Report
5'位修飾型新規ヌクレオシド類縁体によるC型肝炎治療薬の創薬研究
Project/Area Number |
20790106
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Research Institution | Otani Womens University |
Principal Investigator |
池尻 昌宏 Otani Womens University, 薬学部, 講師 (00412396)
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Keywords | 合成化学 / ウイルス / 核酸 / 薬学 / 有機化学 |
Research Abstract |
5'位修飾型新規ヌクレオシド類縁体の合成のうち、6-クロロプリン2'-デオキシリボシドの5'位酸素原子をメチレンに置換した類縁体の合成を検討した。その結果、アリルシランを用いたラジカル反応を活用した合成法は失敗に終わったが、5'位アルデヒド体に対してWittig反応を行い、生じたアルケン部を還元することによりそのメチレン部の導入に成功した。この合成法を用いて、6種類のメチレン型類縁体を合成し、その抗HCV活性(レポータージーンアッセイ、リアルタイムRT-PCR)、並びに細胞毒性試験を行った。その結果、5'位にフェナシル基を導入した類縁体においても効果的な抗HCV活性を示すことが明らかとなった。この知見は、5'位にヒドロキシ基を持たないヌクレオシド類縁体においても抗HCV活性を示し、即ちそれは既知のチェィンターミネーションによる抗ウイルス活性の作用機序とは異なる、新しい機序であることを支持するものである。これは、抗HCV薬の創薬研究を行う上で興味深い知見であり、また、耐性出現の激しいウイルスを標的とした創薬研究においては、このような新たな作用機序の可能性は重要な情報になり得ると思われる。本研究に関しては、医薬化学系学術誌(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters)にて論文発表を行った。一方、メチレン部をより酸素原子に近づけるため、ジフルオロメチレンを用いた類縁体の合成法も検討したが、残念ながら未だ合成の成功には至っておらず大幅な進展は見られなかった。
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Research Products
(1 results)