2010 Fiscal Year Annual Research Report
5'位修飾型新規ヌクレオシド類縁体によるC型肝炎治療薬の創薬研究
Project/Area Number |
20790106
|
Research Institution | Otani Womens University |
Principal Investigator |
池尻 昌宏 大阪大谷大学, 薬学部, 講師 (00412396)
|
Keywords | 医薬品化学 / ウイルス / 核酸 / 複素環 / 有機化学 |
Research Abstract |
平成22年度の研究計画に基づき、本年度はヌクレオシドの5'位修飾部位に用いる芳香族複素環の合成を中心に検討した。特に、抗ウイルス活性の期待できるβカルボリン類に焦点を置き、その効率的な合成法を検討したところ、トリフルオロメチル化インドールアセトニトリル類縁体に対しての水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)による還元的な環化反応が、極めて特異的な反応であり、Red-Alやトリエチルシラン、MPV還元等の他の還元条件を用いては再現できないことを見出した。さらにDIBALによる反応条件について、添加剤や反応温度の検討を加えたところ、還元後の環化には高温が必要であることや塩基の添加も効果的であることを見出した。また、還元試薬の代わりにグリニャール試薬や有機アルミニウム試薬等の有機金属試薬を用いて、アルキル化を経る環化反応への応用を検討したところ、予想に反して、2量体と思われるカルボリン類の生成を確認した。この詳細については未だ不明な点が多いが、新規反応へとつながる興味深い知見である。次に、種々の置換基を有するインドール類を用いての環化反応、つまり種々の置換基を有するカルボリン類の合成へと展開したところ、4位にメチル基やベンジル基だけでなく、アリル基の導入も可能であることを見出した。今回得た種々の知見は、残念ながら収率が十分な値では無く、その量的供給の問題からヌクレオシドへの導入には未だ至っていない。この収率の改善、ならびにヌクレオシドへの導入は今後の課題である。しかしながら今回の成果は、芳香族化合物の新たな合成法、特にフッ素原子を足掛かりとするユニークな方法の新規な例であり、医薬品化学の分野だけでなく、有機合成化学の分野においても興味深く意義のある成果であると思われる。
|