2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナチュラルキラーT細胞を活性化して抗腫瘍活性を誘導する新規糖脂質の創製
Project/Area Number |
20790108
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田代 卓哉 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫制御研究グループ, 研究員 (20339104)
|
Keywords | alpha-GalCer / aloha-carba-GalCer / CDld / IFN-gamma / KRN7000 / RCAI-56 / サイトカイン / ナチュラルキラーT細胞 |
Research Abstract |
キリンビール(株)によって開発されたKRN7000は、免疫細胞の一種ナチュラルキラーT(NKT)細胞を活性化させて抗腫瘍活性を誘導する糖脂質である。2007年に報告されたX線結晶構造解析の結果、KRN7000(alpha-GalCer)のガラクトース部位の6-位の水酸基は、何れのアミノ酸残基とも水素結合を形成していないことが明らかとなった。また、我々は既に、KRN7000のガラクトース部位をカルバガラクトースへと変換した類縁体RCAI-56(alpha-carba-GalCer)が、KRN7000よりも強力にIFN-gammaの産生を誘導することを明らかにしている。そこでRCAI-56に対して、6-位水酸基をメチル化した誘導体を合成して活性を評価したところ、mouse in vivo試験においてKRN7000よりも強力にIFN-gammaを産生誘導することが明らかとなった。しかしRCAI-56よりも強力な活性は示さなかったことから、RCAI-56をリード化合物として選定した。RCAI-56の詳細な活性を調査したところ、IFN-gammaを大量に産生誘導するという活性以外にも、[1]RCAI-56はKRN7000よりも強いアジュバント効果を示すこと、[2]Biacore実験により、提示蛋白であるCDldとの複合体CDld/RCAI-56はCDld/KRN7000よりもNKT細胞のT細胞受容体との親和力が強いこと、[3]肝ミクロソームアッセイから、RCAI-56はKRN7000よりも代謝されにくいことが明らかとなった。これらの結果より、RCAI-56が多量のIFN-gamma産生を誘導する理由として、生体内での安定性とNKT細胞に対する結合力の向上が鍵となっていることが示唆された。
|
Research Products
(8 results)