2008 Fiscal Year Annual Research Report
ギンコライド類の脳神経保護作用機序解明を目指した炭素11標識誘導体の合成
Project/Area Number |
20790109
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石井 英樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子プローブ設計創薬研究チーム, 研究員 (80425610)
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Keywords | イチョウ / イチョウ葉抽出液 / ギンコライド類 / 陽電子放射断層画像撮影法(PET法) / ジテルぺノイドPAF受容体 / PETプローブ / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
イチョウ(銀杏)は2億5千万年前から存在し、「生きた化石」と呼ばれている最古の植物である。イチョウ葉の抽出液(EGb761)は記憶力の減退や抗鬱、めまい、耳鳴や痴呆の治療に有効であることから、ドイツやフランスなど多数の国で医薬品として取り扱われている。近年、我が国でも、健康ブームからイチョウ葉エキスを用いた製品が多数販売されている。イチョウ葉エキスの有効成分はフラボノイド類とギンコライド類である。特にギンコライド類は唯一イチョウから単離された天然物であり、その構造は天然物として極めて稀なtert-ブチル基を有した、高度に酸化された複雑なカゴ型構造を持つジテルぺノイドである。分子内の水酸基の数の違いによりギンコライドA、B、C、JおよびMが知られている。ギンコライド類が血小板活性化因子(PAF)受容体、GABA, 受容体およびグリシン受容体の括抗剤として働くことはすでに報告されていたが、近年、申請者等によりギンコライド類が脳虚血後の梗塞部位の脳神経細胞保護作用を示すことが明らかになってきた(未発表)。本研究ではその作用機序を陽電子放射断層画像撮影法(PET法)等により明らかにし、ギンコライド類を用いた神経変性疾患の治療薬の開発および診断マーカーの創成を目指し行っている。本年度は、市販のイチョウ葉粉末1.5kgからギンコライド類約20gを単離し、これを用いた誘導体合成を行った。ギンコライドAおよびBは10位水酸基に置換基を導入したもの、F環ラクトンをテトラヒドロフラン環に還元した誘導体を合成した。ギンコライドCおよびJは7位水酸基にフッ素を導入したものおよびそのF環ラクトンをテトラヒドロフラン環に還元した誘導体の合成を行った。ギンコライド誘導体は脳虚血モデルマウスを用いた神経保護作用の検証行い、顕著な保護作用が観測されればPETプローブ化を検討する予定である。
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