Research Abstract |
細胞内に感染している少数のA群レンサ球菌のRNAを回収してマイクロアレイで定量的解析を行う系を確立した. そして, A群レンサ球菌を種々の細胞に感染させ, マイクロアレイにより, オートファジーによる分解が起こる感染後4時間まで1時間おきに細胞内のA群レンサ球菌の発現解析を行った. HeLa細胞に感染したA群レンサ球菌におい七, 感染後, 全ての時間で共通して高い発現を示した遺伝子数は128個, 咽頭上皮由来のKyse510細胞に感染させた場合では72個であった. 両方の細胞で共通かつ感染前の菌で発現が低かったのは, 19個の遺伝子で, 転写制御因子やRNA結合タンパク質がみられたが, 60%程度が未知の遺伝子であった, また, オートファジー欠損細胞内でのA群レンサ球菌の遺伝子発現パターンと比較したところ, リボソームタンパク質のみが野生型の細胞に感染した場合に高い発現を示しており, A群レンサ球菌のオートファジー存在下での生存に関わっていると考えられた. また, 感染前と比較して, 感染後1時間目に発現を1.5倍以上変化させていた遺伝子は全ORFの43%に及び, オートファジーによる作用を受けていると考えられる3, 4時間目には10%程度の遺伝子が発現を変化させていた. そして細胞のオートファジーの有無が, 同じ感染時間のA群レンサ球菌の遺伝子発現パターンの変化に大きく影響し, 全ORFの8%の遺伝子発現に差が生じていた. また, オートファジー欠損型細胞と比較し, オートファジー存在下でのみ発現が上昇する遺伝子が26個見られ, この7個の遺伝子は, オートファジー欠損型の宿主に感染した場合は発現が1.5倍以上減少していた. そのため, リボソームタンパク質を含む8個の遺伝子についてノックアウト株の作製を行い, 機能解析を行う予定である. また, ORFアレイではなく, タイリングアレイを持ちいて, 同様の解析を行う.
|