2009 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀による中枢神経障害の発現機構の解明に向けた,細胞外環境分子の解析
Project/Area Number |
20790115
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
周尾 卓也 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特任研究員 (90399006)
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Keywords | メタロプロテアーゼ / プロテオグリカン / メチル水銀 / 神経細胞毒性 / 水俣病 / 細胞外環境 / 神経細胞周囲網 |
Research Abstract |
本研究の目的は,細胞外環境分子,特にタンパク質分解酵素メタロプロテアーゼと細胞外基質分子プロテオグリカンの動態を解析することで,メチル水銀による中枢神経障害の発現機構の解明に向け糸口を得ることである. 研究期間内において次のような成果を得た. 1.メチル水銀はMMP-2を活性化するメチル水銀はAPMAと同程度にメタロプロテアーゼMMP-2を直接に不活性型から活性型に変換しうることをゼラチンザイモグラフィーで確認した.有機水銀化合物APMA(酢酸4-アミノフェニル水銀はメタロプロテアーゼ群の活性化剤として広く利用されている. 2.メチル水銀により活性化されたMMP-2がニューロカンを分解する試験管内であらかじめメチル水銀で活性化したMMP-2を実際にラット脳の可溶性画分から調製したプロテオグリカン群に作用させると主要成分のニューロカンを特異的に分解した.その一方でMMP-2は他のプロテオグリカンであるボスファカンなどには影響しなかった. 3.メチル水銀は神経細胞の形態変化を引き起こすラット脳由来神経細胞の初代培養系にメチル水銀を添加すると,0.5μM以上の濃度で細胞死が誘発されたが,0.1μMで処理すると神経突起の伸長が抑制されるとともに細胞同士の接着が促進されることを観察した. 4.脳組織の可溶性画分には細胞内領域を欠いたニューログリカンCが存在するニューログリカンCは神経細胞の表面に膜貫通型プロテオグリカンとして発現するが,神経回路形成が盛んな発達期の脳では可溶性分子としても存在することが明らかとなった.初代培養神経細胞では可溶性NGCの遊離はメタロプロテアーゼ阻害剤TIMP-2およびTIMP-3で効果的に阻害されたことから,NGCは細胞表面において膜型メタロプロテアーゼにより限定分解されていると考えられる.
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Research Products
(2 results)