2009 Fiscal Year Annual Research Report
カドミウムの血管毒性防御の分子機構を担う転写因子Nrf2
Project/Area Number |
20790116
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
新開 泰弘 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (10454240)
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Keywords | カドミウム / 血管内皮細胞 / 転写因子Nrf2 / Keap1 / メタロチオネイン / 毒性防御 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果より、血管内皮細胞におけるカドミウムの毒性発現に対する転写因子Nrf2の防御的な役割が明らかとなった。そこで本年度は、Nrf2を負に制御している感知・応答センサーであるKeap1の役割と、メタロチオネイン(MT)の発現誘導機構におけるNrf2の作用機序を検討した。その結果、無細胞系においてKeap1のチオール基とカドミウムは強い親和性を示した。また、ウシ大動脈血管内皮細胞(BAEC)においてKeap1をノックダウンしたところ、恒常的なNrf2の活性化およびAREの転写活性化が観察され、カドミウムの細胞毒性を軽減できた。同条件下において、カドミウム曝露によるMT-I/IIの発現誘導レベルは増強していた。また、MT-Iのプロモーターアッセイを行ったところ、Nrf2のノックダウンによりMT-Iのレポーター活性は有意に低下し、この効果はMT-Iのプロモーター領域に存在するARE配列に変異を加えることでほぼ消失した。したがって、Nrf2はMTのプロモーター領域のARE配列に依存した機構でMTの発現誘導を正に制御していることが示唆された。加えて、Keap1欠損細胞のモデルとしてマウス初代肝細胞を用いて検討した結果、Keap1欠損細胞は野生型に比べてカドミウムの毒性に耐性を示し、MT-I/IIの発現誘導レベルもやはり増強していた。以上の結果より、内皮細胞はNrf2-Keap1系にてカドミウムを感知し、活性化されたNrf2がAREを介してMT-I/IIの発現誘導を正に制御することにより、カドミウムの毒性に対して防御に働く細胞応答システムであることが明らかとなった。以上の成果は現在投稿準備中である。
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