2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスに対する内耳機能保護因子の解析と加齢性難聴の予防・治療薬の開発
Project/Area Number |
20790117
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大神 信孝 Chubu University, 生命健康科学部, 講師 (80424919)
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Keywords | 加齢性難聴 / 騒音性難聴 / 内耳 |
Research Abstract |
研究目的 環境ストレスに対する内耳保護因子の解析、及び抗酸化剤などを用いた感音性/加齢性難聴の予防・治療薬の開発を目的に解析を進める。 研究目標 (1) 加齢性難聴モデルマウスの発症機序の解析 (2) モデルマウスの加齢性難聴予防実験 (3) モデルマウスの騒音性難聴予防実験 研究成果 (1) 加齢性・騒音性難聴は酸化ストレスとの関連が指摘されている。本研究より、酸化ストレスを惹起するチロシンキナーゼを介する新規レドックス経路を細胞レベルで明らかにした(J Cell Biochem 2009)。 (2、3) 低分子化合物を5ヶ月齢の野生型C57BL/6マウスに飲水投与し、1ヶ月間摂取させたところ、(内耳コルチ器・蓋膜の構成分子の発現増強がみられた。音信号は内耳で電気信号に変換され、その電気信号が最終的に大脳の聴覚野に約100分の1秒の速度で伝達されるが、内耳コルチ器・蓋膜は音信号を電気信号に変換する最初のステップに必須の部位である。そこで、低分子化合物投与マウスに騒音を暴露させ、騒音前後の聴力レベルを比較したところ、低分子化合物投与群は、12kHzの音域の加齢性・騒音性難聴に対し、有意に抵抗性を示した(特願2009-185334)。 尿管芽形成に重要な中腎管発生初期の細胞の再構成へのチロシンキナーゼの活性の寄与について、個体レベルの解析例は報告されていない。米国コロンビア大学、名古屋大学との共同研究により、中腎管発生初期の細胞におけるチロシンキナーゼ活性を免疫組織学的に検出し、中腎管周辺において部位特異的な活性勾配が存在する事を明らかにした(Dev Cell,2009)。この活性勾配が中腎管発生初期の細胞の再構成に寄与することが示唆された。内耳の聴覚神経系の発達にもチロシンキナーゼの関与が予想されることから、今回確立された高感度の活性検出技術は、その解析を進める上で大変重要な意義を持つ。
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